IMAGINE Digital Japan 2021 で紹介された事例のハイライト (2)
前日の記事『IMAGINE Digital Japan 2021 で紹介された事例のハイライト (1)』に引き続き、『IMAGINE Digital Japan 2021』でAutomation Anywhere社から公表された顧客事例のハイライトをお知らせします。
目次
参考: その他のAutomation Anywhere 事例
IMAGINE Digital Japan 2021とは
「IMAGINE」は元々Automation Anywhere社が年に一度行っていた自社イベントの名前でしたが、今年は昨年に引き続き新型コロナ禍の中、デジタルイベントとして開催されました。アメリカで行われたイベントの日本語版の内容がカバーされていたり、日本オリジナルのコンテンツが入っていたりしています。
事例は、合計で15社の日本顧客事例、8社の海外顧客事例が掲載されています。この記事では8社の日本顧客事例を紹介します。
- コニカミノルタにおける DX(デジタルビジネストランスフォーメーション)戦略と展開状況
- 日本郵船~SXで“楽”して働こう!!−どうでもいい仕事にGOOD-BYE−
- リガク~RPA普及活動 有志3人から全社展開へ
- アライアンス・バーンスタイン~グローバル金融業におけるRPA導入Journey(成功例と失敗例)
- 住友ゴム~変われる経験を提供し続けるRPA
- 京都銀行のデジタル戦略とRPAによる業務効率化
- 呉共済病院~医療機関におけるRPA導入の取組みについて
- システムサポート~RPAをスケールさせるポイント ~STSの取り組み事例~
- スカパーJSATにおけるRPAの取組みについて
- 第一生命における「RPA・AIを活用した生産性向上」の取組み
- 宝塚市~The Transformation of Takarazuka
- TDKが推進するバックオフィス業務のIQ BOTとRPAを活用したデジタル化
- テクノプロ~Automation Anywhere導入による、複雑な組織での効率化を実現
- フジテックの「RPAで働く方改革」~RPAを活用してバリューサイクルを回そう!~
- 山一電機~IQ Bot活用による受注プロセスの自動化
日本の顧客事例のハイライト 2
システムサポート~RPAをスケールさせるポイント ~STSの取り組み事例~
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- RPAの社内展開はRPAエンジニアではなく一般のスタッフが中心となって取り組んだ。システム部ではなく、サービス部門のエンジニアを巻き込んで週1でRPA勉強会を開催。総務部で業務を知っている方に入ってもらった。5人でローテションを組んで暇を見つけながら勉強している。
- RPAを導入するだけでなく、使う社員がしっかり学べる環境を提供する
- 疑問に感じたときにすぐに確認できる環境を提供する
- 例: 入社した社員情報の社内システムへのマスタ登録
- 入社に伴う煩雑な各種システムへの登録の効率化
- 13ボット (総ステップ数 3,000以上)
- Teams投稿などを利用、勤怠システム、人事システム、SharePointと連携
- 全体の業務を誰も把握していなかったので、ボット化する過程で改めて全体の業務を把握することができた。
- 例: 請求書と経理システムの突合チェック
スカパーJSATにおけるRPAの取組みについて
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- 2017年にオフィス移転や全社的な働き方改革の推進が開始。ICTツール、OAシステム整備によるツール利活用と業務プロセス改善/業務改革、役職員の意識改革。生産性向上、業務効率化、労働時間短縮により創造的な活動促進。3つのWGのうちひとつがRPA/AI WG (2018年2月)。2018年10月より本格開始。
- ツール選定のポイント
- 情シスメンバーに親和性があるスクリプト形式
- 並列稼働、バックグラウンド処理、オブジェクト認識
- 一元管理、タスク実行機能
- セキュリティ要件 (ユーザー管理および権限管理機能)を満たすサーバー型
- 処理速度、リトライ機能
- Web VDIの利用が可能
- 工夫したポイント
- 社内への情報発信 - 社内ポータル (開発状況、導入効果、事例の公開、親しみやすいキャラクターの作成)、社内報 (導入事例のインタビュー記事)
- 対象業務の選定 - 立ち上げ時期にはやりたくない仕事を若手から募集、成長期・安定期には業務選定方針・選定基準を定義 (コストに見合う、定性効果が妥当、システム改善課題ではないこと)
- 専任体制の整備 - RPAデスクを整備して役割を明確にした。(ヘルプデスク、管理運用、広報、統括、開発)
- RPA導入から2年半経過した状況: 86業務、24部署(半数以上)、17,200回/年、12,000時間/年 (増加中)
- コロナ禍で業務への適用数も伸びている
- アンケートからは85%の利用者が定性的効果を感じた、半分のユーザーが心理的負担が軽減したと答えた。
第一生命における「RPA・AIを活用した生産性向上」の取組み
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- 先端技術活用による利便性・生産性向上プロジェクトのひとつとして事務オペレーションのオートメーション化があり、保険事務に係る定型業務をオートメーション化して人材の国内外成長分野などへのシフトを行うのが目的
- RPAの大規模導入
- AIによる手書き文字のデジタル化
- ビジネスプロセスマネジメント
- 1000万人の個人顧客、契約手続きは年間110万件、保全手続きも100万件を超える。膨大な件数の事務手続きを迅速かつ正確に進める必要がある。
- 2017年度よりRPA活用を開始。2018年度から本格展開、2021年現在約200台のロボットが24時間稼働、850業務、約30万時間の時間削減を達成。
- 2016年度10月から3ヶ月でPoC、製品選定 (AA社ともう1社の2つを導入)、スコープの決定(個人保険業務20業務)
- その後6ヶ月で開発運用体制構築
- 2017年度7月からトライアル稼働
- 2018年度4月から全社展開、導入規模拡大
- 例: 保険料の口座引き去りができなかったお客様にペイジー入金をご案内する業務 (データ抽出、加工をしてSMSで顧客に結果送信)
- RPAガバナンス体制 - RPAアンバサダー200名が毎月のRPA推進連絡会で情報交換。現場主導で推進。
- 効果: 作業ミスがなくなり品質が向上、待機時間から開放され作業の効率化、ストレス軽減につながった。単純作業から開放され、より重要な仕事に集中できるようになった。
- 2020年7月からAI-OCR基盤を導入、700種類の帳票を自動的に読み取る。3つのOCR製品を組み合わせている。AIは100%の精度が出せるわけではないため、確信度が低いものについて人が確認する。
- 例: ハートフル名とで加入申込書を元にOCRでを起業しスキャナーで 読み込ませ新規登録を行う
- 今後はRPAとAI-OCR・チャットボット等の組み合わせによりさらなる生産性向上を目指す。53万時間の削減、1700業務への適用予定。
宝塚市~The Transformation of Takarazuka
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- 将来の人口動態に応じて職員数も減少予定 (2027年)し労働時間にして年間約3万時間が減る、市税収入も伸びないが社会保障関連費は増加。⇒プロセスの変革と協働による行財政改革が必要。
- 2019年度から着手。RPAにも取り組み。担当課手動によるBPRも実施。外部人材/コンサルにも相談、PMO。内部シンクタンクの構築を目指す。
- 操作性やわかりやすさ、Excelとの親和性を考慮してAA社Automation 360を導入。(v11から移行中)。CSM (Customer Success Manager) の存在も大きかった。
- トップダウン、ボトムアップ双方からの改革の実施。
- 課題: 個別最適からの脱却、旧態依然の組織風土による改革の阻害、業務改革の必要性は感じても総論賛成各論反対などで進まない。
- ストーリーとビジョンを持って取り組み、BPRを行い業務フローの再構築が必要。ツールの導入を目的としない。実感から意識改革を促す。
- 業務改革ロードマップを2020年度に作成、現状業務プロセスに応じて類型化 (モデルケースの選定と類似業務への展開)、職員数シミュレーションの実施
- 2020年度末時点の成果: 17業務1,170時間/年の削減。(市税収納業務、生活保護、予算査定業務など)
TDKが推進するバックオフィス業務のIQ BOTとRPAを活用したデジタル化
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- 多種多様な電子部品取引と日本独自の商習慣による業務の煩雑さの解消のために国内販売業務の経理を中心にAAの導入を決定。経理部門。2年前から導入。
- 課題 - 経理や受発注などのバックオフィス業務に自動化できない部分が多かった。全社レベルERPが導入されているが、その周辺業務が煩雑。日本では顧客別個別対応をしている。
- B2B受発注はWeb、FAX、PDFなど様々な形式。可視化、標準化してガバナンスを利かせる必要がある。
- Automation Anywhere導入の決め手 - 日経主催セミナーに参加後ハンズオンセミナー参加による非IT人員への使いやすさの実感、海外展開へオン対応力、きめ細やかで強固なサポート体制(導入後に気づいた、月1のQ&A実施によるスキル向上)。
- 効果: 2年間で130 Bot、700時間 (200万円相当) 削減による高付加価値業務へのシフト、データ品質の向上、業務可視化によるワークフロー見直し、業務標準化によるガバナンス強化につながる
- 今後の活用 - 作業改善の定着化、社内の水平展開 (300社との取引の経理作業など)、BPRアプローチをプロセスマイニングを活用して実施、内製化の推進によるCOE機能の強化。
テクノプロ~Automation Anywhere導入による、複雑な組織での効率化を実現
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- RPA活用の背景
- 市場環境の変化によるスピーディな取り組みが重要、世の中の変化に追従して新しいサービスを提供していく必要性がある
- 作業担当者の空き時間を作ることが重要、担当者の作業をロボットが代行
- 業務性質を正しく知るためのツール、RPA導入により業務を改めて正しく把握できる
- RPA導入前は経理部が経費精算、請求書処理、精算処理などでデータを受領する際、手作業によるデータ加工や確認、部署をまたいだデータやり取り、チェック後の再加工や再度の確認などが行われていた。これらは作業コストが高い。手作業は属人化することで効率化がなされるが、異動時に再教育コストやリスクが発生
- コア業務以外はアウトソースしているが、残業時間が40-60時間/月発生していた。
- RPA導入計画: Automation Anywhereの導入
- スケジューリングされたボットの実行
- ボットの集中管理可能な管理コンソール。少人数で大規模展開が可能。
- クラウドベースにより広域展開可能な実行環境
- 導入コストと時間の削減
- 専用インフラ・サーバー不要でありコスト削減
- 機能追加するとすぐに展開され使える。
- 効果: 経理部の該当業務について約80%の業務時間が削減できた。
- その他にも500以上の業務を改善、月40%以上の手作業などによる業務時間削減、属人的になっていた業務が改善、人的リソースの適切な配置が可能になった、作業ミスによる巻戻り作業が改善、時間外業務が削減された。
- それまでは業務手順が固定化され、属人化業務を疑問視することがなかった。問題点も見いだせなかったが、RPA化対象業務の評価や改善予測、業務の棚卸し、手順再評価により、フローの正規化と改善する視点が生まれる。これによりさらにRPAが水平展開される。
- 導入に向けたポイント - 分析に置いて担当者の作業を明確にする視点、チームとして業務分析や改善を目指す目的意識、常に問題提起できる場の形成
フジテックの「RPAで働く方改革」~RPAを活用してバリューサイクルを回そう!~
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- デジタル化推進。モバイルやクラウドの導入、RPAやSaaSを積極的に導入。
- RPAは2019年5月から業務プロセス調査実施、2019年10月から取り組み体制を組んだ、2019年11月に説明会を実施、2020年1月からユーザー研修開始、立ち上がりはコロナで伸び悩んだが6月から軌道に乗りだした。68ロボット、7,280時間/年の削減効果。
- 運用中ロボットの87%は、これまで開発をしたことがないユーザーによる開発。
- 削減効果時間の97%はフロントオフィス業務 (営業・据付・保守、調達・生産・物流、開発・設計)。残り3%はバックオフィス業務。
- RPAと並行して紙の電子化推進 (OCR導入は紙を延命させる恐れがあったので保留にして、代わりに徹底したデジタル化を推進している)。年間11万枚分の郵送とハンコの削減。コロナで加速した。
- PoCは3つの業務から始めた。これで効果に確信を持てた。
- Automation Anywhereに決めた理由
- ユーザー主体で開発できる (これが一番重要)
- 情シスで集中管理ができる
- 将来性安全性に期待できる
- 期待効果 - 単純ミス削減 (担当も作業ストレスから解放)、ルーチンワークのロボット代行による効率改善、24時間365日の稼働
- RPA化したい作業200件が応募され、候補を121作業に絞った。年間作業回数と年間作業時間のグラフにプロットしてみると、120時間/年以下、習字・月次の作業が大半を占めていることがわかった。これらの小粒な作業を自動化をコツコツ勧めていくことが重要。
- 環境構築はクラウドを使ったのでコロナでもOK。RPA研修はオンラインで行った。コミュニティもオンラインで。RPAサポートチームは兼務(情シス)。縦串、横串の連携。ユーザー環境はAWS上で行う。開発環境はGoogleカレンダーで予約。設計書作成はほぼなく、Zoomでレコーディング。申請にはワークフローシステムを活用。RPAサイトも作成した。
- KPIで進捗・成果管理。ユーザー開発者の番付も見えるようにしている。RPA番付認定も行っている。(東西の横綱、大関、関脇)
- バリューサイクルマネジメント (新しい時代へアップデートし続ける仕組み)が必要。
- デジタルワーク化が必須 - ビジネスモデル変革の前提
- コアサイクルが回る - 学習・業務改善・本来価値創出により本来業務に集中できる
- バリューサイクルを回す - 組織も働く個人も成長し続ける
山一電機~IQ Bot活用による受注プロセスの自動化
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- コロナによるリモートワークの導入。従来の紙・捺印による承認プロセスに影響⇒ペーパーレス化、ハンコレス化。ワークフローシステムでは複雑なことができないのでRPAを使うことにした。2020年10月より。
- RPAは短時間で導入したい。導入経験・知見を活かす。クラウド製品が良い。AI-OCRも使いたい。⇒ Automation 360 Cloudを選定。
- 業務選定: 経費精算 (Excelマクロ機能だけでは足りない)、受注プロセス (PDFの注文書が2,000件/月あり、内部管理用のExcelへの天気とERPへの入力作業を軽減したい)
- 経費精算は経理部門での作業が1日が1時間で終わるようになった
- 受注プロセスは、見積書はAI-OCRを使ってデジタル化。IQ Botを活用。読み取り精度は100%にはならないので、読み取り精度を担保する仕組みが必要。
- 苦労した点 - AI-OCRの読み取り精度は100%と誤解されるため、業務ユーザーの不信感の払拭とBPRへの協力。IQ BotはAIではあるがすべてが自動ではない。
- 良かった点 - AA社のコンサル (ナレッジトランスファー)、AI-OCR/IQ Botの使い方。製品の進化。
- ユーザーの声 - 本来の付加価値の高い業務に集中できる!
- 作業の効率化。月次や週次でのバッチ的な作業が大幅に低減。後戻り・やり直し作業の低減。
- 単純作業からの解放 - データ入力作業のコピー&ペースト。
- 業務プロセス進捗遅延の低減 - 24H365Dでの処理が可能。
- 導入の速さ - 他のシステム開発と比べ格段に速い。
- DX推進にRPAは有効。BPRは不可欠。