オートメーション道場

RPAツール「Automation 360」(旧Automation Anywhere A2019) の使い方についてまとめていきます。

IMAGINE Digital Japan 2021 で紹介された事例のハイライト (1)

IMAGINE Digital Japan 2021で紹介された事例のハイライト

8/31にAutomation Anywhere社主催でバーチャルイベント『IMAGINE Digital Japan 2021』が開催されました。昨年の『IMAGINE Digital Japan 2020』に引き続き、日本の顧客が登壇して生の声を聴くことができるセッションが多数あったので、主要なものをまとめてみました。

 目次

 

参考: その他のAutomation Anywhere 事例

Automation Anywhere お客様の紹介

導入事例 - RPA総研

 

IMAGINE Digital Japan 2021とは

「IMAGINE」は元々Automation Anywhere社が年に一度行っていた自社イベントの名前でしたが、今年は昨年に引き続き新型コロナ禍の中、デジタルイベントとして開催されました。アメリカで行われたイベントの日本語版の内容がカバーされていたり、日本オリジナルのコンテンツが入っていたりしています。

事例は、合計で15社の日本顧客事例、8社の海外顧客事例が掲載されています。この記事では7社の日本顧客事例を紹介します。

 

日本の顧客事例のハイライト

コニカミノルタにおける DX(デジタルビジネストランスフォーメーション)戦略と展開状況

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  • 役員レベルでDXに取り組み、2030年に向けてのパーパスを設定。イメージング技術で顧客の「みたい」に応える。
  • DXには業務改革、文化の改革、ITが必要。目指す姿の事業側8要素をオーケストレーション
  • RPA推進はリージョン単位にCOEを設けている(Global+6リージョン)。いずれは部門単位で推進していく。
  • FY17からはじめてFY20で約10万時間の時間を創出した。BPRは必須。

 

日本郵船~SXで“楽”して働こう!!−どうでもいい仕事にGOOD-BYE−

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  • 変革の基礎になるのは信頼、ツールは使わされるのではなく自分から使いたくなるようにする。継続、定着。
  • 心が動かなければ、体は動かない。文化と人の変革。OSをアップデートしろ。
  • 心が開いてなければ、道は見えない。Techファーストではなく人ファースト。
  • 30 Room 100名でデータラボという取り組みを組織横断で展開。新しいテクノロジのPoCとしても活用している。AA社も出演した。DX相談件数も年間200件を超えている。改善する前にやめることも考える。RPAはどうしてもやらないといけないときに適用する最終手段。デジタルは人の能力の拡張。
  • 事前準備や要件定義に時間をかけず、アジャイルにリリースする。


リガク~RPA普及活動 有志3人から全社展開へ

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  • 実績
    • 2018年下期から3人の有志で検討を始めた。31個のプロセスのRPA化、年間4407時間の工数削減が見込めた。
    • 2019年下期には、3部門で25の定型業務のRPA化、年間2234時間の工数削減を実現。(海外営業1610時間、総務320時間、国内サービス313時間)
    • 2019年下期には、海外営業部で年900件の該非判定を自動化、受注入力自動化など。総務部では毎日680名の時間外労働集計、500名分のX線データ保存の自動化などを実施。サービス部ではe-learning進捗メールの自動配信、社用車の運行記録自動保管など。
  • 2019年上期にRPAツール選定 (AA V11)。2019年下期に3部門で実績を作った。2020年下期に全社説明会を実施(国内全社員約1,000名の1/4参加)、2020年下期にRPAの再選定を実施 (Automation 360に決定)して2021年上期から全社展開を開始。
  • RPA選定にあたっては、簡単に作れる、実現したい機能がある、安定動作する、機械学習拡張が可能、一元管理できる、導入・ランニングコスト低い、拡張コスト低い、現場でメンテナンス可能といった項目で評価、AA社の評価が一番高かった。「簡単に作れる」には疑問点があったのでV11を5ヶ月間評価し、最終的にAA社に決定。
  • 3部門が2019年下期から2020年上期まで1年間RPAを使用した実感
    • 作業工数が不要orクリックのみになる等かかる時間が非常に短くなったが成果は同じ
    • スケジューリング、トリガー設定で作業を忘れることがない
    • プログラムに間違いがなければ転記ミスはゼロ
    • 今までやりたかったけれど、工数不足でやれなかったことができる
    • 使い出すと元には戻れない
    • 次はこれがRPA化できるのではとアイディアが湧く
    • 全社に展開すればもっと効果がでるのではないか?
  • 全社説明会では、半分以上の人はRPAを知らなかったが93%が興味を持った、76%が自動化できる業務があると答え、自分で作りたい人も33%という回答を得て、全社展開を決意。188件の対象業務候補の提案が合った。
  • 全社展開では、RPA推進タスクフォース発足、5部門でスタート、運用方針、ルール作成、トレーニング実施後、各部門でRPAを作成して月次定例会を実施。Creator環境で作ったものを事務局で審査して合格したら本番環境で実行。


アライアンス・バーンスタイン~グローバル金融業におけるRPA導入Journey(成功例と失敗例)

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  • DXという言葉は使っていないが、RPAで手動プロセスの効率化、システム間のデータアクセス、データ分析の簡単化、複雑なビジネスルールや規制のコンプライアンスサポートなどを行っている。
  • ABでは経理部長がRPAをリードしている (ITではない)
  • 2018年に3つの理由からAA社を選定。
    • 機能が包括的、セキュリティ対応
    • 効果的、コスト削減と費用対効果。会社同士の文化が近い。
    • グローバル対応可能。
  • 2018年にPoCを経てオンプレv11を導入。
  • 2020年にクラウドのAutomation 360に移行。さらにデータセンターを日本から米国に移行。
  • 現在、米国を中心に40個余りのロボットが稼働中。(日本、香港、インド、英国)
  • チームワークの重要性。AA社Customer Successとの連携。
  • COEモデル - 2層
    • 会社全体COE - システム環境 (インフラ、24時間帯製のモニタリング、エラー対処)、ルール (システム開発ライフサイクルやベストプラクティス)、サーバーセキュリティ、SOX、内部監査、外部監査、調査などの対応、課題 (導入プロセス、トレーニング体制、リソース)
    • 部門別COE - 財務経理部門、営業部門、IT部門やサイバーセキュリティ部門、Federated型/Central型
  • クラウドSaaS (Automation 360)、Discovery Botなどの最新技術を積極的に真っ先に導入、創意工夫。AARI、Attended Bot Runnerも検討中。
  • RPAプロジェクト運用における説明責任 (ロボット数と時間、安定して動作する環境づくり、ドキュメンテーション、24x7のモニタリング) - 信頼性を上げることで、マネジメントやユーザーに安心を届ける。


住友ゴム~変われる経験を提供し続けるRPA

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  • ESG経営の推進の基礎施策のひとつとしてRPAが位置づけられている。デジタル経営で必要なアプローチ (業務基盤の整流化、再構築) と従業員体験の向上 (働き方改革、労働の質の向上) が目的。変われる経験を提供し続ける。
  • 2018年2Qよりトライアル開始、Excelデータの集約業務について、ボット管理の観点からAAを導入し、1020分かかる業務を20分に短縮、98%の時間を削減。
  • 2019年4月より9名でスタート。(経営企画、IT企画、人事総務、嘱託)
  • 上流工程 (企画と実行サポート) と下流工程 (SRIシステム)にわける
  • これを皮切りに2019年12月まで社内の適用部門を広げに掛かったが、その後はあまり削減時間が積み上がらなくなり手探りが続いた。
    • 押し寄せる要望を裁けない自体に陥った⇒要件定義のスピードアップ
    • 情報子会社の開発だけでは展開スピードに限界⇒協力企業を増やした
    • 他の課題も出てきたので他企業との情報交換をした
  • その結果、2020年8月からユーザー開発 (シチズンディベロッパー)に移行。一つの業務あたりは効果が小さくても現場で開発。その結果、削減時間が伸びてきた。
    • 全社浸透イベント、研修会、目標設定、内部統制
    • ユーザー開発者は年末までに累計200名
    • 2021年7月には推進部も15名、専任者も置いた。
  • 2021年6月現在、年間3万時間削減、170ボット。


京都銀行のデジタル戦略とRPAによる業務効率化

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  • すべてのお客様とデジタルでつながることが目標。ポータルを通してつながる。
  • RPA導入にあたっては、コンサル導入、本部業務の洗い出し・整理 (140業務) を行った。(廃止・集約、RPA適用、RPA以外のデジタル技術適用) 3年間で80名相当の業務量を削減することが目標。70業務がRPA適用業務となった。
  • 2020年3月にPoC、4月に導入決定、5月にKick Off、6月にシステム環境構築、10月に開発者研修、開発スタート、2021年3月にAI-OCR (IQ Bot) トライアル、7月 (当初は3月だったが延期) に本番稼働。
  • PoCでわかった時間削減/年 (%削減)
    • 預金調査対応: 2640時間 (69%削減)
    • 外国為替相場取得: 1.8時間 (90%削減)
    • 交渉経緯モニタリング : 100時間 (83%削減)
  • RPAの選定。2018年から国内RPAツールを使って14業務1500時間削減をやっていた。夜間を含めた24時間稼働が可能か、開発が容易か、導入後のサポート体制、導入実績、コストなどを考慮。今回はA2019オンプレを選択。
  • ボットはユーザーも作る (ユーザー部門とシステム部門とのハイブリッド。簡単なものはユーザー、難しいものはシステム)。COEを作成。イノベーションデジタル戦略部とシステム部がタッグを組んだ。
  • 導入に際しての工夫 (開発管理体制の整備、開発人員の育成、RPA専用サイトの解説、継続的な開発支援)
  • RPA導入の成果
    • 計画: 70業務、2万時間、開発完了はそのうち28業務、6000時間。
    • 研修は35名が完了。
  • 今後はチャットボットなどインターネット取引への対応、RPA対象業務の拡大、RPA開発人材のさらなる育成、業務改革カルチャーの浸透をやっていく。


呉共済病院~医療機関におけるRPA導入の取組みについて

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  • RPA導入の背景 (時間外労働の増加 (部門の偏りがある)、人材不足、医師の働き方改革 (時間外労働制限))
  • RPAの導入経緯
    • 2019年3月: WinActorトライアル
    • 2019年5月: 本格導入、内製化で作成
    • 2019年10月: Bot 18台、削減時間672時間/年
    • 2020年9月: Bot 27台、削減時間1900時間/年 - Botが増えず、最終的にひとりで作ることになった
    • 2021年4月: Automation Anywhere のPoCを3日間行い、AAへ更新 - 作成スピードが早い、エラーが起こりにくい、スケジュール機能、セキュリティが高い (ユーザーを分ける、アカウント入力) - 2ヶ月で移行。
    • 2021年7月: Bot 68台 (4部門) - Bot総数は109台。多くのBotはデータ出力、帳票出力、データ入力を行うものだが、採血患者待ち受け画面作成ロボットなどもある。300-400回繰り返す。
  • どの業務をRPA化するのか (ヒアリングしての判断、RPA化できるかの判断・効率的かどうか/頻度が高いもの、アナログ作業/紙が多い、業務フローを変える必要もある、RPAといってもわからないのでヒアリングにも工夫が必要。)
  • RPAの作成者は誰にするか (現場、システム担当者、外部委託で一長一短)⇒経営企画室2名で作成することにした
  • 導入効果
    • 削減時間だけでは効果はわからない
    • 時間の価値が違う (忙しい時、暇な時期、削減した時間を有効に使っているか)
    • 業務改善・効率化できているのか
  • 今後は対象部門の拡張、院内への周知、RPA作成者の育成と現場で作成できる整備を行う

>> IMAGINE Digital Japan 2021 で紹介された事例のハイライト (2)に続く

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