オートメーション道場

RPAツール「Automation 360」(旧Automation Anywhere A2019) の使い方についてまとめていきます。

Automation Anywhere Innovation Dayのハイライト

Automation Anywhere Innovation Dayのハイライト

先週10月7日にAutomation Anywhere社の本社でInnovation Dayと呼ばれるバーチャルイベントが行われました。英語Onlyでしたが日本時間の昼から配信され、深夜に起きてみる必要はありませんでした。

ということで、Innovation Dayのキーノートからハイライトを記事にしてみました!

目次

 

イントロ

Automation Anywhere社では2003年より、フロントオフィス、バックオフィスやすべてのオフィスでのサイロを打破して、企業での摩擦を軽減するために自動化ソリューションを提供してきたとのこと。これを行うための大きな発表がCEOからある、と。

 

Automation Anywhereのミッション

CEOミヒル・シュクラが登場。COVID-19によって社会は大きなインパクトを受けたが、それによって2022年/2025年に向けての企業の改革はより進んでいるとのこと、働き方も大きく変わっている。バックオフィス・フロントオフィスでのテクノロジーサイロを解消し、摩擦を軽減するためにRPAは役立つ。AI+RPAで複雑なプロセスも自動化することができる。プロセスを完全に自動化できれば「デジタルエンタープライズ」となることができ、ビジネス弾力性も得ることができる。

Enterprise A2019は、ボットを4分以内で完成できるクラウドネイティブのプラットフォームであり、ビジョン「Make automation accessible to everyone」を実現するものだ。

 

AARIの発表

これをどう実現するのか。ところで、家庭と企業ではかなり異なる作業の仕方をしている。家庭ではデジタルアシスタントを使っていろいろな作業ができるようになっているが、企業では1995年のようなことがまだ行われている。紙の作業や手作業など。リモートワークをする際にこれはさらにやっかいになる。企業でもデジタルアシスタントを使えばうまくいくのではないか。それを実現するのがAARI (アーリ)だ。

 AARIとはAutomation Anywhere Robotic Interfaceの略で、企業におけるデジタルアシスタントを実現する。レポートやエクスペンス申請などを一緒にやってくれる。アプリケーションやボットなどと連携して承認処理など複雑な処理もやってくれる。

AARIはWeb、モバイル、デスクトップ、音声 (まもなく登場)であらゆるユーザーとコラボレーションする。(www.aari.com というサイトで案内。) これにより企業での働き方も家庭に近づきデジタルエンタープライズに近づく。常にデジタルアシスタントと一緒に仕事ができるようになる。

使える人もロボットを作ったり実行する人だけではなく、「すべての人」が使えるようになるとのこと。

 

AARIの意義の解説

ここでミヒルは退場、引き続き対談形式で解説が進む。

いままで自動化は10%くらいの人にしか恩恵がなかったが、AARIにより「すべての人」に広がる。COE組織がビジネスユーザーにAARIを使ってソリューションを作る機会があると。銀行業務でもアプリケーション同士のデータ連携にメールを使っていたが、AARIを使ったデジタルアシスタントを作り、業務を単純化して自動化できるようになったとのこと。カスタマーサービス、コンタクトセンターでも使える。

コンタクトセンターの例として、IVRやチャットボットを使っている場合もあるがその他は自動化されていないという。コンタクトセンターエージェントはいろいろなアプリケーションを扱って作業している。

AARIを使うとAARIとだけやり取りしていれば、エージェントは裏で何が行われているのかを知る必要もないのだという。

 

コンタクトセンターの事例 (フロントオフィス)

AARIを実装した事例としてTakeUSによるプレゼンが行われた。生産性と顧客満足度を向上するためにA2019 Enterprise Cloudを実装し、AARIも各所で実装した。

AARIは1カ月という短期間で実装、展開した。 手作業による検索のかわりにAARIで自動化した。トレーニングも最小化できた。効果も3週間で出始めた。

AARIができることは「従業員の生産性向上」「顧客満足度の向上」「すぐにROIを出す」ことである。

 

バックエンドシステムのデータ移行の事例 (バックオフィス)

バックオフィスでは、財務/経理、人事、総務、ITなど様々な重要な業務を担っている。他の組織が日々活動するにはとても需要なものばかりである。自動化はこれを遂行するのにとても重要である。

バックオフィスの自動化では、部門ごとのサイロを打破して自動化、扱うデータは巨大なのでうまく扱える必要があり、変革をスケールして扱える必要がある。

事例としてWebPTが登場。EMR (Electronic medical record) システムのデータ移行において、自動化を利用してアプリケーション間でデータ移行を実施した。最初は人を雇って人海戦術で行っていたが、それではスケールしないと認識、自動化することを決めた。

バックエンドシステムの移行を行うことで、最終的に顧客にもメリットをもたらした。

 

ITで新規アカウント発行の事例 (バックオフィス)

AARIを使ったバックオフィスの自動化事例としては、新入社員への新規アカウント発行がある。新入社員は必要な情報を入力すると、裏でAARIが動いてITや人事が必要な処理をするとアカウントが発行される。

 

RPAをスケールするには?

少人数でインパクトの高いアクティビティを自動化する (図で言うと、縦軸のROIが高い上、かつ横軸の自動化アクティビティ数が少ない左、つまり左上の青い部分)には、COE組織が主導するRPA導入で問題ないが、その他の部分にスケールするには「市民開発者 (Citizon Developer) 」の力が必要になる。

市民開発者により組織内にRPAを劇的にスケールさせROIも出すことができるようになる。そしてこれをやるには中央からガバナンスを効かせてリスクを減らして品質を保つ必要がある。

2023年までに大企業での市民開発者の数はプロの開発者の数の4倍以上になるだろう、とガートナーは予言している。

これはどのように実現するのか。グローバルCOE組織がガバナンスとレポーティングを維持し、標準を決める必要がある。そして各組織のCOEに移管して、市民開発者にボットを作らせるという構造をくみ上げる必要がある。

スケールの道のりを登山に例えると、最適化をするためにまず登山計画を作る必要がある。そして従業員をエンゲージをするにあたり、市民開発者にとって使いやすいツールを選定する必要がある。ローカルガバナンスでスケールさせるには、ボット開発を末端に移管する必要がある。Automation Anywhereを使うと、自動化プロジェクトを見通して管理することもできるようになる。

従業員の生産性のレベルでできるようになること。

チームのレベルでできるようになること。

組織全体の目的を達成するためにできること。

 

クラウドとAIのシングルプラットフォーム

クラウドとRPAを組み合わせる意義は、RPA展開をクイックに行い、そしてスケールさせること。高価で時間がかかるオンプレミスでの展開をしなくても、イノベーションのスピードを担保できる。

AIを取り入れたシングルプラットフォームアプローチも取っている。AIやデータをプラットフォーム全体で使えるようにしている。

最初はDiscovery Bot、ここでもAIを使ってプロセスや非効率性を検知してボットを作成するときに支援してくれる。2つ目のIQ Botは非定型の情報を取りだすのに役立つ。3つ目の自動化をするRPAでもAISenseというAIを使って判別が難しいコントロールを認識している。4つ目の分析も最適化の余地や問題を見つけるのに重要である。

つまりいずれの要素もAIを少しずつ違う形で利用している。

 

AIを使ったIQ Botで紙ベースの確認作業を簡単にする

ひとつの例として、IQ Botを利用したデモがなされた。顧客のアカウントを作成するのに、サンプルドキュメントを使ってトレーニングしたIQ Botを使う。ラーニングインスタンスを作成してデータをロードして、名前や住所などキャプチャしたいデータ要素を定義する。これをベースにサンプルデータの学習をさせる。トレーニング済みのモデルをプロダクション環境に設定する。

RPAからこのモデルを使ってロジックを組むことができる。

1つ目の添付ファイルを開いて、住所を証明するドキュメントを検証、2つ目のドキュメントで個人のIDを検証、3つ目のドキュメントで申し込み状況を検証、これらをCSVの形式に吐き出して扱いやすくする。

データの内容に課題があり、このまま承認するのにリスクがあるときはそれを例外プロセスに回す。問題がない場合はウェルカムキットを顧客に自動送信する。

これらは数分で実行することが可能となる。

 

AARIとの連携は?

AARIが自動化に及ぼすインパクトは、ボットと人とのコラボレーションがより簡単になること。ボットがより身近に人と働くこと。ボットが人のふるまいを学習してより賢くなること。AARいによってプラットフォームがより大きく拡張されることになる。AARIもプラットフォーム全体で利用することが可能である。 

 



 

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